そもそも、受験において帰国子女枠(以降、帰国入試)とはいったいどのようなものなのでしょうか。
海外子女が日本へ帰国し進学する際には、小学生、中学生においては「帰国先の学区の公立校へ進む」「国内生と同じ一般入試をする」「帰国子女枠を利用した帰国入試をする」高校生においては「国内生と同じ一般入試をする」「帰国子女枠を利用した帰国入試をする」「AO入試などの推薦枠を利用する」という選択肢があります。この帰国受験について考えてみたいと思います。
帰国入試とは、日本の教育課程で勉強できない子供に、別枠で入試を行うものです。平たく言えば、「海外の学校(特に現地校)で勉強していたら日本の勉強には不利があるから、一般入試よりハードルを下げますよ。その代わりしっかり自分を磨いておいてくださいね。」というものです。
具体的な入試科目は中学、高校受験では「英・国・算」「国・算」もしくは「英語のみ」というように、理科・社会は課されないのが一般的です。そして、ほとんどの学校で面接試験が課されます。入学後は学校によりけりですが、帰国生クラスを編成し、一般とはやや違ったカリキュラムで勉強をしていきます。また大学入試では「書類選考型」「筆記試験選考型」「書類・筆記両用方」に分かれ、筆記試験が課される場合であれば文系学部であれば「小論文」理系学部であれば「数学・理科2教科」の試験が行われます。そして書類、筆記の良好な生徒に対して面接が行われ合否が決定します。大学は単位制ですので中学校や高校のように帰国生クラスなどはなく、自分で卒業までのカリキュラムを組んで必要な勉強をしていきます。
では、帰国入試とは実際にどのような意義があるのでしょう。
帰国入試をする理由は個々様々ですが、海外のご家庭ではどのように帰国生の進学先を選んでいるのでしょうか。大きくわけて、
・同じ帰国生がいる環境で勉強をさせたい
・身につけた外国語(特に英語)を今後に活かしていきたい
・一般入試をするには勉強教科が追いつかない
などが考えられます。
海外経験が長ければ長いほど、子供は「外国人」になっていきます。当然日本で育った子どもとは、文化や生活の面ですれ違うこともあるでしょう。ネガティブな話ですが、いわゆる「浮いてしまう」こともしばしばです。その点、帰国生のみで編成したクラスまたは帰国生が集まる学校は、周りの子と価値観も共有でき、ストレスのない環境だといえるでしょう。
また、せっかく英語を習得してきたのに、授業が「ABC」から始まることに疑問を感じることも理解できます。(それでも学ぶことはとても多いのですが)
逆に、高い英語力、またそれに通じる語学力を持った子供達であれば、理科・社会の遅れを補って余りある勉強が出来ると期待ができます。
まずは子供の現状や適性、そして今後をしっかりと考え目標を設定し、それに向かって勉強していきましょう。
ただし、「子供にどうなって欲しいか」だけでなく、「子供自身がどうなりたいか」が大切であることをお忘れなく。